はじめてのケープバルブ

はじめてのケープバルブ

ケープバルブとは

 ケープバルブとは南アフリカ共和国のケープ州を中心とした、界隈に自生する球根植物を指します。しかし、その定義は球根植物のみに留まらず、多肉植物や塊根植物(コーデックス)、ガガイモ等を含む総称として呼ばれる場合もあります。

 

 

View of two dams on Table Mountain surrounded by green fynbos bush, Cape Town, South Africa 作成者: Ava Peattie

フィンボスとよばれる、南アフリカ共和国西ケープ州に帯状に分布する自然の灌木植生地域(小石や岩の多い乾燥地帯)に生息しています。

 

独自の進化をした「珍奇な植物」たち

ケープバルブの魅力といえば、そのちょっと変わった見た目でしょう。
中には葉っぱがクルクルしていたり、フリルがついていたり、はたまたモフモフした植物、また葉の柄が水玉のものやストライプのものなど個性豊かな見た目が愛好家を惹きつけています。

 

 

宝石みたいな多肉植物

写真:Succulent Plant Yulu,Haworthia cooperi var. pilifera (Baker) M.B.Bayer 作成者: Jianyi Liu

 また近年初心者にも人気の「多肉植物」からは、宝石のような見た目が美しいハオルチア(属)が人気です。ハオルチアは葉っぱの頂点に水分を含んだ半透明の「窓」とよばれる部分があり、太陽に透かして見ると宝石のような見た目から別名「ジュエルプランツ」とも呼ばれています。

 

夏型&冬型

ケープバル夏型冬型植物

 ケープバルブには大きく分けると「夏型」と「冬型」(春秋型もある)に分かれます。その名前の通り「夏型」は5~8月の夏に成長期を迎え、「冬型」は9~2月頃に成長期を迎えます。

 

ー 夏型植物 ー

夏型の王様!コーデックス:パキポディウム

夏といえば、コーデックス。コーデックスの夏というくらいに人気のコーデックス(塊根植物)。特に南アフリカやマダガスカル島原産のパキポディウムが人気です。

パキポディウム

Pachypodium Rosulatum Gracilius, common name Elephant's Foot Plant, in Isalo national park, Madagascar 作成者: dennisvdwater

パキポディウムというのは日本語で”太い脚”という意味。乾燥地帯に生えていることから、幹の部分に水分を蓄え、太い脚のようにどんどん膨れて成長していきます。また幹が太くなるにつれてトゲトゲは無くなり、ツルツルになるものが多いです。

 

夏型ケープバルブ:フリルの葉っぱ人気!

 このレデボウリア コンカラー (Ledebouria concolor)は東ケープ州に自生する夏型のケープバルブ(球根植物)です。乾燥した地帯に半分だけ埋まって生えています。

フリルのような波打った葉と、玉ねぎの様な外皮が特徴的な植物です。名前の「コンカラー」とは、葉の表と裏が「 同じ(Con)+色 (Color) 」に由来します。

水玉の葉っぱがかわいい。

 こちらは、水玉の葉っぱが人気の夏型ケープバルブ、ドリミオプシス マキュラータ ( Drimiopsis maculata )。種小名のマキュラータは「斑入り」という意味で葉っぱに斑点があります。このように群生している姿はなかなか見ごたえがあります。

この植物は比較的成長速度も速く、分球して増えることからこれからケープバルブを始めたい初心者の方にもおススメです。

 

ー 冬型植物 ー

冬型の人気種:エリオスペルマム

 この小さなクリスマスツリーのような見た目の植物は、冬型ケープバルブの中でも人気のエリオスペルマム パラドクスム 霧氷玉 ( Eriospermum paradoxum )です。1年目は爪楊枝の先っぽ程の大きさにしかなりませんが、年数をかけて地中の芋が大きくなり、10年程度で写真のようなサイズに成長します。

エリオスペルマム属は冬型のケープバルブを代表する植物で、この属の種類は多岐に渡り、他にもトゲトゲしたものもあります。

 

 トゲトゲした葉っぱ?

このエリオスペルマム ケルビコルネ ( Eriospermum cervicorne )は一枚の大きな葉から付属器(Enation)と呼ばれる突起をつける不思議な植物です。この付属器が「鹿の角」のような形をしていることから「cervi(鹿)+corne(角)」と呼ばれています。

 

クルクルした葉っぱの植物。

 一度見たら忘れることの出来ないこの不思議な植物は、冬型球根植物のアルブカ コンコルディアナ ( Albuca Concordiana )です。この植物にはより大きなサイズの大型も存在しますが、大型の場合はこのように引き締まったカールにはならず、ゆるまった巻き具合になります。

やはりこの植物も乾燥した地帯に自生しており、水分を少な目にし日光と風を多くあてることでこのような美しいスパイラル状に育てることが可能です。

 

ー 春秋型植物 ー

春秋型:亀の甲羅みたいな植物

 この亀の甲羅のような見た目の植物は、春秋型の塊根植物ディオスコレア エレファンティぺス ( Dioscorea elephantipes )です。その見た目から和名は亀甲竜と呼ばれています。成長期の春と秋には蔓を伸ばして成長し、ハート形の葉っぱをつけます。

 実は、この亀甲竜にはアフリカ産とメキシコ産の2種類が存在し、メキシコ産の亀甲竜は夏に成長期を迎え、つぶれたスライムのような形をしています。エリオクエストで取り扱っている亀甲竜は、アフリカ産なので写真様な形に成長します。

 

植物の密猟が増えている

 

 このようにここまでケープバルブについて説明してきましたが、近年こうしたレア植物の世界的人気高騰に伴い、南アフリカや南米でのレア植物の密猟が横行しています。

大規模に行われているものの一つにカリフォルニア州沿岸部に自生するDudleya属の密猟が挙げられます。

2018年1月にはカリフォルニアの郵便局で大量の植物を中国及び韓国あてに送ろうとしたアジア人男性を局員が通報し、逮捕されました。

中国、韓国、日本で爆発的に人気が高まったDudleya属が密猟者の標的となり、正確な数字は知る由もありませんが、少なくとも数万株以上のDudleyaが被害にあったと考えられ、密猟された植物は主に韓国、中国、そして日本の業者が購入し、最終的には一般の愛好家の窓際を飾ることになります。

これらの希少な植物は平均して一株70ドル、中には5千ドルもの値が付くものもあり、密猟者の活動をより一層加速させる要因となっています。

 中には現地人を雇ってグループで密猟を行うグループも出てきているようで残念ながら殺人に至る事例も起こっています。

近年密猟における密猟の増加には、日本、中国、韓国においての爆発的な植物ブームが背景にあり、増大する希少植物への需要に生産が対応しきれていないことと、それに伴う価格上昇が密猟をさらに助長させています。

もともと園芸用として生産されていた植物だったけれど、需要に生産が追い付いていないというケースもありますが、栽培自体がむつかしく、栽培されていないという植物も多くあります。

例えば成長がとても遅く、売れるようになるまで十年以上かかるものは採算が合わず、商業用として栽培されない、そういった希少植物を、どれほど高価でも、違法に採集されたものでも買ってしまう愛好家が存在するため、密猟が横行しています。

「輸入株」に注意!

オークションサイトなどには魅力的な植物がたくさん売られていますね、レアなものを見かけることもよくあります。

でもちょっと待って下さい、それはちゃんとした栽培品でしょうか?密猟品の可能性はないでしょうか?輸入株などと書かれているものはいったいどこから来たものなのでしょうか?

もちろん海外にもきちんとした生産者、販売店もたくさんいますが、密猟されたものの流通も少なくありません。

また、レアなものほど密猟された可能性も高くなります。

一般にみることのないレアなものを購入するときは一度お店、出品者に入手経路を確認してみてください。

国内実生・環境保護

 

 エリオクエストは密猟に反対です。

 エリオクエストでは以上のことに気を付けて仕入れ、生産、販売を行っています。生産環境のきちんと整備された生産者からのみ仕入れをしており、販売しているのもほぼすべてが高知にあるエリオクエストの圃場で実生(種から栽培育成)、株分けしたものです。

 株を種から栽培し1年がかりで販売することは非常に労力のかかることですが、現地の環境を守りながら、皆さんが安心して植物ライフを送っていただける一助となればと思い生産しております。



最後に。

 如何でしたでしょうか。このようにケープバルブと密猟についてお伝えしてきましたが、エリオクエストでは皆さんが安心してお買い物して頂けるように国内での栽培を行っております。

もし、この記事が何かのお役に立ってイイねと思って頂けましたら是非シェアをお願い致します。

皆さんの植物ライフがより充実した楽しいものになりますように。

エリオクエスト

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